雛人形に想いを込めて 健やかな成長を願い祝う『ひな祭り』

155c1c3413bd2ef8085ba74edc44382d_mひなまつり『ひな祭り』は3月3日、女の子の健やかな成長を願う行事で、『桃の節句』『上巳(じょうみ)の節句』ともよばれています。
雛人形を飾り、ひなあられや菱餅を供え、桃の花を飾ります。
白酒や散らし寿司、吸い物など縁起のよい料理を楽しみ、幸せを願います。

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『桃の節句』という別名は、桃の開花時期に重なるというだけでなく、桃の木には邪気祓いの力があり、節句を祝うのにふさわしいと考えられたことから、このように呼ばれるようになったといわれています。

花桃現在はこのように『ひな祭り』のお祝いをすることが主流ですが、その昔は『流し雛』という行事が行われており、これが『ひな祭り』の大元となっています。
『流し雛』は、祓い人形に身の穢れを移して水に流し清めるといった意味の民俗行事です。
平安時代に書かれた「源氏物語」の須磨の巻で、源氏は『上巳の祓い』を須磨の海岸で行い、人形を海に流したという記載があるほど、古い歴史をもつ慣習です。
現在もその文化が各地で受け継がれており、人型の形や流し方など地域によって特色の異なる『流し雛』が行われています。

花桃2

初めは若い娘たちが主役だったひな祭りの行事ですが、女の子が生まれるとひな人形を用意して、その子の形代(かたしろ)と考えて飾り、“どうぞ災いがふりかかりませんように、また、美しく成長してよい結婚に恵まれ、人生の幸福を得られますように”という願いを込めてお祝いする『初節句』の風習が広まっていきました。
こうしてひな祭りは、祓いの儀式であったものが徐々に形を変え、雛人形を飾り女の子の成長と幸せを願うお祭りとなって、定着していったのです。

ひな祭りは春の訪れを祝う意味もあるので、立春(暦の上で春が始まる日。2月4日ごろ)を過ぎたころに飾りはじめ、ひな祭りがすんだ翌日には片付けるのが良いとされています。
遅くとも春分(春の折り返し地点。3月21日ごろ)までにはしまうのが良いとされています。

ひなまつり2

★雛人形の名前

最上段:内裏雛(だいりびな) お内裏様とお雛様

内裏(だいり)とは天皇の住まいである御所のことで、内裏びなは天皇、皇后の姿をあらわした男びなと女びな。

二段目:三人官女(さんにんかんじょ)

内裏に仕える女官たち。

三段目:五人囃子(ごにんばやし)

お囃子の演奏をする、太鼓(たいこ)、大鼓(おおかわ)、小鼓(こつづみ)、笛(ふえ)、謡(うたい)の五人。

四段目:随身(ずいしん)

お内裏様を警護する、若者が右大臣、右の髭をはやした老人が左大臣。

五段目:仕丁(しちょう)

宮中で雑用をする人たちで、怒りじょうご、泣きじょうご、笑いじょうごの3人なので、三人上戸(さんにんじょうご)ともいわれる。台笠(だいがさ)、沓台(くつだい)、立傘(たちがさ)を持ち、出掛けるときの様子をあらわしている。ほうき、ちりとり、熊手を持っている場合は、宮中を掃除する様子をあらわしている。

★ひな祭りの食事

この日を彩る食べ物の数々には、さまざまな願いが込められています。

菱餅

efc907182879ee2d340c9d601c8a56fe_s古代中国の上巳節で食べていた母子草(ははこぐさ)のお餅が日本でよもぎ餅となり、江戸時代に白い餅、明治時代に赤い餅が加わり三色になったと言われています。
三色にはそれぞれ、桃色は「魔除け」(解毒作用のある赤いくちなしが原料)、白色は「子孫繁栄・長寿・純潔」(血圧を下げるひしの実入り)、緑色は「健康・新緑の生命力」(強い香りで厄除け効果があるよもぎ餅)の意味があります。

ひなあられ

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その昔、女の子たちがひな人形を持って野山や海辺へ出かけ、おひなさまに春の景色を見せてあげる「ひなの国見せ」という風習がありました。
このときに春のごちそうと一緒にひなあられを持って行ったのが始まりで、菱餅を砕いて作ったという説もあります。
一般的には菱餅と同じく桃色、白、緑に彩られますが、黄色を加えて華やかにすることもあります。

白酒・甘酒

甘酒もともとは、桃が百歳を表す「百歳(ももとせ)」に通じることから、桃の花を清酒にひたした 「桃花酒(とうかしゅ)」が飲まれていました。
江戸時代から、蒸したもち米や米麹にみりんや焼酎を混ぜてつくる「白酒」が定着したと言われています。
もうひとつの定番が「甘酒」。これには2種あり、酒粕を使ったアルコールを含むものと、ご飯に米麹を混ぜて一昼夜ねかせて作るアルコール度数1%未満のもの(別名「一夜酒(ひとよざけ)」)があります。

はまぐりのお吸い物

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3月は磯遊びの季節なので、ひな祭りには海の幸を供えました。
なかでも貝類は一番旬の時期で、特にはまぐりは2枚の貝がぴったりと合い、他の貝殻とは絶対に合わないことから、女の子の「貞操」を象徴していると言われています。
また、何事にも相性の良い結婚相手と結ばれて、仲睦まじく過ごせる「夫婦和合」の願いも込められています。
盛りつけるときに、開いた貝の両側にそれぞれ身をのせ(1つの貝に2つ分の身がのる)、将来の幸せを祈っていただくのが、縁起が良いとされています。

ちらし寿司

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ちらし寿司そのものにひな祭りのいわれはありませんが、えび(長生き)、れんこん(見通しがきく)、豆(健康でまめに働ける)など縁起のいい具が、祝いの席にふさわしく、三つ葉、卵、人参などの華やかな彩りが食卓に春を運んでくれるということから、ひな祭りの定番メニューとなっています。

★全国のひな祭り行事

 京都・下賀茂神社の「流し雛」

京都の下賀茂神社では、御手洗川に雛人形を組み込んだ桟俵(さんだわら)を流す『流し雛」の行事が、毎年3月3日に行われます。
平安時代の昔から続く神事で、子どもの幸福と健康を願い、人形を身代わりとして厄を流し、心身を浄める儀式を執り行います。

福岡・太宰府天満宮「曲水の宴」

福岡の太宰府天満宮では、ひなまつりのルーツとされる「上巳の節句」にちなんだ雅な宮中行事「曲水の宴」を、毎年3月第1日曜日に開催しています。
十二単の平安装束をまとって当時を再現するこの行事は、京都の上賀茂神社や城南宮、平泉の手越寺などでも行われていますが、
太宰府天満宮は名物である梅が見頃であることで特に人気です。

鳥取・もちがせの雛送り

鳥取の用瀬町(もちがせちょう)では、無病息災を祈って流す「もちがせの雛送り」が旧暦の3月3日に行われます。
江戸時代から続く行事で、桟俵に男女一対の紙の人形(ひとがた)を乗せ、千代川(せんだいがわ)に流して穢れを祓うものです。
これと同時に、健やかな成長を願ってお雛様にお供えしたご馳走を子どもたちが食べる「ひな荒らし」も行われます。

京都・市比賣神社「ひいなまつり」

京都の市比賣神社では、実際に人が十二単の装束を身に着ける「ひいなまつり」が3月3日に行われます。
お雛様、お内裏様らオールスターが勢揃いしたところで、五人囃子の雅楽をバックに三人官女が舞を披露し、雅な宮中の世界を再現します。

徳島「阿波勝浦ビッグひな祭り」千葉「ビッグひな祭り」

雛人形を大量陳列するユニークなひなまつり行事の中でも特に有名なのは、徳島県勝浦町「阿波勝浦ビッグひな祭り」と、
千葉県勝浦市の「かつうらビッグひな祭り」です。
同じ「勝浦」の名のもと、同祭の発祥である徳島県勝浦町から約7,000体ものひな人形が贈られたことがきっかけで行われるようになりました。
展示は全国の家庭から寄付された雛人形で構成され、徳島ではその数約3万体、千葉では約2万5000体にのぼり、盛大に行われます。

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